「林業」とは何かについて、いせしま森林組合様へ取材しました。
【林業と当組合について】
林業は、森林資源を持続的に活用する産業です。木材の生産だけでなく、環境保全や生物多様性の維持にも貢献しています。林業では、木材の伐採や育成、植林、森林管理など幅広い活動が行われています。
当組合は、平成6年4月1日に伊勢市、鳥羽市、志摩市、玉城町、度会町、南伊勢町の広域合併にて発足し、面積の約66%が森林を占めています。
また、活動範囲は他の森林組合より比較的広域であり、その中には、伊勢志摩国立公園も含まれており、美しい海や特徴的な海岸線の景観と豊かな森林環境を誇る地域です。
私たちは、各地域に応じた森林資源の循環利用を推進及び実施するとともに、森林の適正な管理と、森林資源の持続的な利用をする活動を行っています。このため、林業・木材産業が内包する持続性を高めながら成長発展させ、人々が森林の発揮する多面的機能の恩恵を享受できるようにすることを通じて、社会経済生活の向上に寄与する様、取組んでいます。
また、森林は、国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面的機能を有しています。
特に、当組合においては、一つの森林に高度に発揮すべき機能が併存する場合が多いことから、自然的条件や地域のニーズ等に応じて、森林整備活動の調整を行いつつ、特に成熟しつつあるスギやヒノキといった人工林資源に対する森林整備を進めています。
このため、森林施業の集約化や路網整備を通じた施業の森林整備を計画的に実施しております。
また、この地域の特性から、必要に応じて人工林以外の山林においても、森林整備を行う事で、生物多様性の保全等に貢献し、森林の有する多面的機能の維持・増進を図ることで、森林が我々にもたらしてくれる、きれいな空気、美しい自然、川や海からの豊富な魚介類などの様々な恵みが、将来にわたり確保されるよう森林を守り育てています。
【当組合の考え】
森林では、樹木をはじめ多様な動植物が相互のかかわりの中で生命活動を営んでおり、これらを取り巻く水・空気・土等の多様な要素とともに森林生態系が形成されています。
また、森林では、水・空気・土等の循環の中で、こうした生命の営みが繰り返され、木材をはじめ再生産可能な産物を供給しており、森林は、適切な保全を図りながら利用する限り、人に多様な恵みを継続的に与えるものです。
以上のような森林の多様性、相互の関連性、総合性、さらには人間生活との関わりをみると、森林は、他に代え難い最良の野外教育や環境教育の場でもあります。
特に、子ども達が体験を通じて学ぶ機会が限られている今日、自分で課題を見つけ自ら学び自ら考える力や、心身のたくましさが、次代を担うべき子ども達から失われつつあることが懸念されていますが、
森林の中では、様々な状況において、自ら判断し、行動することにより、新しい発見や驚き・感動を味わうことができます。
「森を学校に」して、自らの行動で体験として、学んでいくことにより、子ども達の「生きる力」が育まれていくことが期待されるのではないでしょうか。
さらに、体験に裏打ちされることにより、知識の広がりと深まりが生まれ、その経験が日常の生活態度に実感を伴って組み込まれていくことが可能となります。
しかしながら、かつてのように、日常の中で、子ども達が親や年長者等から森林での遊び方や森林の生き物、森林からの産物の利用等について教えられることがなくなった今日においては、まず、森林との関わり方についてのオリエンテーションをはじめ、森林についての基礎的な知識を学ぶことが重要です。
その上で、森林や環境について、より深く学び、理解していけるよう、活動を
行う者のレベル等に応じた多様な森林環境教育の機会を子ども達はじめ多くの国民に提供していく必要があると当組合は考え活動しています。
記事更新日: 2023/12/27